それぞれの恋愛模様 

それぞれの恋愛模様・1

「ねえ、ルシカって、どんな人が好みなの?」

 ある時、エステルに聞かれました。
 ちなみにエステルは、筋肉質の人が好きなのだそうです。
 そう言えば、闘技場に毎日通っている姿を見かけました。
 レーグは格闘ファンの男性だけでなく、女性にも人気があるようです。
 どこかのお金持ちのお嬢様も、レーグの大ファンだと聞きました。

 改めて考えてみました。
 一番身近に居た異性は、兄です。
 でも、兄が好みかと聞かれたら、違う気がします。
 お兄ちゃんは、なんだか出来すぎて、信用なりません。
 申し分のない人なので、面白味に欠ける気がします。

 どちらかといえば、兄とは全く違うタイプがいいです。
 みんなに優しい人よりは、特定の一人に一途な人がいいです。
 そっちの方が誠実で、信頼できそうな気がします。
 ミイスいた頃は、ちやほやされすぎて落ち着かなかったので、ばしっと物を言ってくれる人の方がいいです。
 嘘をつかれるくらいなら、厳しくても本当の言葉を言う人の方が良いです。

 ……エステルに答えたら、「ごちそうさま」という返事がきました。
 どうしてご飯の話になるのかわかりません。

09/08/27

ミイス主ルシカ。神官家の娘として育ったため、同年代の子と恋話は出来なかったようです。
恋愛ソウルはブルーフレア。当然スキルはありません。
個性的な仲間に教わりながら、ただいま訓練中。

 

それぞれの恋愛模様・2

 恋というのは、どの辺がどうなって成立するのか、よくわかりません。
 よく 『運命を感じる』 という言葉を聞きます。
 人づてに聞いた話だと、『サンダーボルトをくらう気分』 なのだそうです。
 恋愛というのは、命がけの試練のようです。

 ――運命を感じましたか?

 セラに聞いたら、くだらん、で終わったので、兄に聞いてみました。
 さすが兄です。セラとは正反対に即答してくれました。

「もちろん感じたとも!」
「サンダーボルトだった?」
「いや、ライトアローだった」

 光って閃いて、気づいたら、貫かれていたそうです。
 痛くなかった? と聞いたら、最初はやっぱり痛いと思ったのだそうです。
 けれどそのうち、「あの体中を痺れさせる快感がたまらなくなってくる」 のだそうです。
 じわじわと身体を蝕む感じは、慣れてくると、もっと欲しくなるそうです。
 そういえば、ライトアローは毒の追加効果があった気がします。

「――恋愛というのは、価値観を変えるものだからな」

 深淵な真理を見た人の口調で、兄はそう締めました。
 どこか恍惚とした眼差しが気になりました。
 確かに兄は、ずいぶん変わったような気がしますが、
 いわゆる恋する眼差しとは、何かが違う気がしました。

09/08/27

アーギルシャイアは、サンダーボルトは使えませんが、ライトアローは得意です。
光の矢で貫いて、人格まで変えちゃう、恋のマジック。
ちなみにシェスターも魔道アカデミー卒なので、ユナイトスペルは習得済みです。

 

それぞれの恋愛模様・3

 恋愛というのは、気づいたら始まっているものだそうです。
 理由は特になく、気づいたら楽しくなっているものだそうです。
 自分でも気づかない愉しみ。それが恋愛の魔力のようです。

 ――姉さん、新婚生活がうまくいっていないなら、いつでも話を付けてやる。

 あるときセラが、お義姉さんにそう言っているのを聞いてしまいました。
 月光はスタンバイOKだそうです。相変わらず、不躾で物騒な物言いです。
 お義姉さんは、首を振って答えました。

「何言っているの。私は今、とても幸せよ」

 確かに、お義姉さんは幸せそうです。
 でも、どことなく悩ましげな気配も漂っています。
 セラもそれを感じて、心配したのでしょう。

 セラはイマイチ共感性にかけるので、相談相手には向いてません。
 私の方が話しやすいかも知れないと、それとなく聞いてみました。
 そっと教えてくれました。
 お義姉さんは、自分自身のことについて悩んでいるようです。

「私にできることで、ロイが喜んでくれるなら嬉しいのだけど」
 その方法について、思い悩んでいるようです。
 兄が何か不満を漏らしたのかと聞いたら、首を振りました。
「ロイは、とても満足してくれてるみたいなの。ただ私の方が……」

 ――本当にこんなことして、良いのかしら?
 ――どうせなら、もっとやっちゃった方が良いのかしら?

 罪悪感と愉しさが入り交じる、不思議な気持ちになるのだそうです。
 たとえて言うなら、「メンタルゲインを使っている感じ」 だそうです。
 HPをMPに変える感触が、こんな感じらしいのです。
 ちょっと胸が疼いて痛む感じ + 妙に精神が高揚する感じに通じるものがあるそうです。

「不思議ね。
 悪いなと思っても、だんだん愉しくなったりするし、
 痛いなと思っても、だんだん気持ちよくなったりする。
 ……愛情って矛盾しながら、育っていくものなのかもしれないわね」

 お義姉さんは悩ましげにそう言って、ため息をつきました。
 夫婦の問題なので、あまり詳しいことは聞けず、それ以上追求できませんでした。
 よい相談相手になれなかったのは残念ですが、
 やはり愛情は、当人たちにしか、わからないものかもしれません。

09/08/27

ロイの運命はライトアローのようですが、シェスターはどうやらメンタルゲイン。
基本はMですが、アーギルシャイアを宿してS気も持ち合わせる羽目になったお義姉さん。殺伐とした経験から、博愛精神に目覚めたシェスターは、知らぬ間にアムドゥシアスのソウルを宿していたようです。