鍵と鎖 

 風が戦いの余韻を鎮めるように吹き抜けていった。
 巨大な羽は無惨に破れ、四肢はぴくりとも動かない。しかしその核たるものは、死んだ身体の奥で、傷もなく停止しているにすぎない。
 一歩前に進み出てひざまずき、サイフォスは軽く手を動かして陣を切る。
 主人に教えられた呪文を唱えると、ティラの娘の亡骸が光に包まれ、その核は遠く――主人の下へと転送されていった。

「何をした」

 黒髪の剣士が、きつい口調で問いかけてきた。
 彼はなぜか、自分に対して執拗な態度をとってくる。
 それを訝しく、煩わしく思いながらも、サイフォスはできるだけ穏便に済ませられるよう、膝を起こし、彼の方を向いて柔らかな口調で答えた。

「今の祈りですか。闇の力を浄化したのです。念には念を、というところですか」
「――嘘つき」

 小さく呟かれた声に振り返る。
 青い髪の少女が、憤りと哀惜のまざったような目で、サイフォスを見ていた。
 慌ててサイフォスは目を逸らす。仮面に隠されているから表情は読まれなかっただろうが、振り返ったのは失敗だった。
 まだ若い少女だったが腕の立つ冒険者だった。 「目」がよいのだろう。辺りの様子をよく観察していて状況判断に優れていた。
 隣の剣士ほど表に出さなかったが、彼女も戦いの最中から、探るような視線を自分に向けていたのを感じていた。

 そう。この剣士もこの少女も。
 側にいると、ざわざわと落ち着かない気分にさせられる。
 簡潔に別れの言葉を告げ、空間転移の呪文を唱える。役目は終わった。だから一刻も早くこの場から立ち去り、懐かしく身になじんだあの場所へと戻りたかった。
 主人の満足する声を聞いて……安心したかった。




 闇の怪物退治を請け負う冒険者など、限られるのかもしれない。
 再び彼らとティラの娘退治で偶然出会った。
 前回と同じようにティラの娘を倒し、やはり前と同じように、足早にその場を退去しようとしたサイフォスを、あの剣士が呼び止めた。

 ――またか。

 表には出さないよう、けれど仮面の内側では半ば苛立たしげな思いを抱いて、サイフォスが顔を向ける。
 剣士が抜き身の剣を素早く振り上げた。
 思わずサイフォスも身構え、短剣に手をやる。
 だが剣士は鋭い眼差しをサイフォスに向けながら、切っ先を天に向けて告げた。

「確かめたかっただけだ。こんなふうにな」

 剣士の剣が冷気を帯びるような青白い光に包みこまれた。
 同時にサイフォスの手の中の短剣が、小さな共振音を立て、淡く白い光を放つ。
 目を瞠って、サイフォスは動けなくなった。

「俺の月光に反応する剣。それはひとつしかない。そして、その剣を持つ男の名もな!」

 違う。これは、ライジングサンという名前の短剣だ。そして私は――私は?
 逃げるようにして、素早くサイフォスは呪文を唱えた。
 転移のまばゆい光が辺りを満たし、自分を運ぶ風を感じる。青い髪の少女が言いかけた言葉も一緒に、時空を越える風の向こうに消えてしまった。



* * *



「ご苦労だったわ、サイフォス。上等な材料をありがとう」

 洞窟に現れた人影に、知らずアーギルシャイアの顔がほころんだ。
 戻ってきたサイフォスを上機嫌でアーギルシャイアは迎えたが、サイフォスは腰の剣に手を触れたまま、無言でその場に立っていた。声をかけても顔を上げず、目を短剣に落としたままだ。
 いつもなら、サイフォス、と名を呼べば必ず顔を上げて、主人の言葉を待つはずの彼が。

「どうしたの?」
「ティラの娘の元に向かう途中、いつかの冒険者の一行と会いました」

 サイフォスはあまり無駄口をたたかない。唐突と言えば唐突に始まる人形の語り方には慣れていた。そういえば聞き流していたが、以前腕の立つ冒険者の一行の力を借りたので楽に済んだと言っていた。

「そう。また彼らの力を借りたの。それとも、その冒険者たちは負けて殺されたのかしら」
「彼らの目的はティラの娘ではなく、私だったようです」

 ぴくりとアーギルシャイアの肩が動いたのを、サイフォスは見逃さなかった。
 勢いを得て腰の短剣を抜き、アーギルシャイアに切羽詰まった声で問いかけてくる。

「彼らは私をよく知っているようでした。それだけでなく、私のライジングサンが、黒髪の剣士の持つ剣と奇妙な反応を示しました。彼は私に言いました。月光に反応する剣。それはひとつしかなく、その剣を持つ男の名も、と」
「うるさいわ、サイフォス。そんなこと、どうでも良い事よ」
「しかし」
「うるさいと言っているの!」

 片手で髪をかき上げながら、アーギルシャイアはサイフォスに冷たい視線を投げた。無意識に髪を手で梳きながら、彼の手の中の剣に目を据え――アーギルシャイアは唇を歪ませる。

「その短剣、威力は高いけれど、厄介な品で、前から気に入らなかったのよね」
「アーギルシャイア様?」
「海に捨ててきて。サイフォス」

 サイフォスが息を止めて硬直した。そろそろと問い返す。

「何を……」
「聞こえなかったの? 捨ててきて、と言ったの。ティラの娘を殺すのに役立つ品だからと貴方に持たせたけれど、もう必要ないわ。ええ、ティラの娘も十分な数がそろった。あとは禁断の聖杯だけ。だからあなたは狩りに出かけなくていい」
「お待ち下さい、アーギルシャイア様、私は……」
「三度目よ、うるさいわ! その短剣、海に捨てなさい。これは命令よ。サイフォス」

 一方的に告げるだけ告げ、アーギルシャイアは背を向けた。
 なすすべもなくサイフォスは黙り込んだ。
 やがて低い声で、失礼をいたしましたと礼儀正しく告げ、その場を去った。



 自分の命令は絶対だ。逆らうことなど許されない。
 いや、逆らいたくとも逆らえないようになっている。そのはずだ。
 サイフォスがちゃんと命令を果たすかどうか、アーギルシャイアが影から見ていたのは、それを確かめる意味もあった。
 彼は迷いに迷っていたようだったが、重たげに身体を引きずり、洞窟の外に広がる岩稜の一角に立った。まるで自分の首でも切られるかのように強く張りつめた緊張を身体全体に滲ませて、手を離す。
 短剣は吸い込まれるように海に呑まれ、水底へと沈んでいった。
 サイフォスはいつまでもその場に立ちつくし、白く泡立つ海面を眺めていた。



* * *



 ざわざわと緑の枝が黒煙にまかれて揺れている。赤い炎が下から伸び上がるようにして燃え上がり、あっという間に木々を包んで炎の柱へと変えてしまう。

『大丈夫だ。私が嘘をついたことがあったか?』
 傍らに立つ影。のぞき込むようにして尋ねると、危ぶむような怪しむような、何か言いたげな大きな目が、自分にまっすぐ向けられた。
 すべてを見透かす空の色だ。
 そう思ったとき、尖った唇が不満そうに動いて、はっきりと言葉を告げた。
『嘘つき』

 身を跳ね起こすと寝台がきしんだ音を立てた。
 慌てて隣に目をやったが、長い黒髪は身じろぎもなく安らかに保たれたままだ。幸い主人を起こすことはなかったようだ。
 安堵のため息と同時に、こめかみに激痛が走った。焼き印を押されるような熱い痛みに、サイフォスは身体を二つに折る。手のひらを押し当てて苦痛をこらえながら、まただと思う。最初に痛みを感じたときは、ティラの娘を退治した日の夜だった。

『あなたはなぜか不審をぬぐえないようですね』
『……なぜだか、思い出せないのか』

 思い出せない?
 声を殺して身をよじる。汗だくになった身体ごと落ちるようにしてサイフォスは寝台を抜け出すと、手早く服を身につけ、よろよろと洞窟の外へと転がり出た。





 夜気が火照った身体を急速に冷やしていく。ざわりと胸の奥に刺さるような寒気を感じたが、サイフォスは寝台に戻る気にはなれなかった。代わりに月の光を頼りに、海沿いの岩稜を登っていく。
 ……たしか、この辺に。
 昼と夜とでは周囲の様子も雰囲気も激変する。世界が黒い影となっている中で、確信はもてなかったが、距離と方向とわずかな足場の感触から、昼間ライジングサンを捨てたのは、この場所だと思った。
 どうしてと思い、見つかるわけがないと分かっていたが、自分を駆りたてる感覚は、それよりもずっと強いものだった。
 岩場の下では、海水は狂ったように複雑な流れを描いていた。夜ともなれば、海中は辺り一面重たい闇と化している。剣どころか、側に立っているであろう岩壁すら分からない。そんな果てない荒野で、ただ一本の小さな剣を見つけるなど。

 ――ただ。あの剣は、光るのだ。
 ほんのりと薄く淡く、暖かな白い光で。
 この暗闇の中でも、そんな風に光ってくれたら。

 愚かなことをしていると思いながら、さらに海辺をさまよい、岩稜の間をくだりおりながら、波が荒く砕けては散る岩礁にまで降りる。
 ひときわ大きな波が打ち寄せ、あっという間にサイフォスの足場にしている岩場を飲み込んだ。思いがけず強い水流に脚をすくわれて、岩場に転がる。石で背中を打ち、冷たい水が、鎧の奥に染みこんだ。

 海辺は、小さな光のかけらもなく、ただ一面の闇が深く広がっていた。
 先も後ろも、右も左も、行き先も自分の姿も見失うばかりの闇だけが。



* * *

 

 自分の命令には逆らいたくとも逆らえないようになっている。
 だからサイフォスは言われたとおり、剣を捨てた。
 ならば、捨てた物を探すな、とまで言っておかなければならなかったのだろうか。

 ここ数日、隣で寝ているはずの男が、夜中に寝台を抜け出して外へと出て行く。
 何をしているのかは、後をつけてすぐに分かった。
 何故そんなことをと疑問に思い、自分に隠し事など許せないと腹立たしく思った。
 だが夜の海での捜し物なんて見つかるわけがない。馬鹿なことをしているサイフォスを滑稽だとも思った。
 だから放っておくことにした。そのうち諦めるだろうと思ったから黙っていた。

 どこかで何かが狂い始めていることに――計算外のことが起きていることにアーギルシャイアも気づき始めていたが、それでもまだ闇の神器の力を信じていた。忘却の仮面の効果は絶対だ。
 追及することは怖かった。
 サイフォスが、自分の思っていた道から外れだしているという、その事実が。

 アーギルシャイアに知られたくないからなのか、サイフォスが剣を海に探しに行くのは、夜更け。それもアーギルシャイアが眠った後でのことだった。
 夜間ほとんど寝てないサイフォスは、当然といえば当然だが、昼間にぼんやりとしていることが多くなった。それに対してアーギルシャイアは、夜の事には触 れず、ただ昼間のサイフォスに対して非難をぶつけ、罰として痛めつけることもしてみたが、それでもサイフォスは堪えないようだった。
 堪えない……それも少し違った。
 最初は、アーギルシャイアが何か言えば、申し訳ありません、といつもの口調で謝り、すぐに態度を改めた。
 だが日が経つにつれ、少しずつ、その反応が鈍くなり始めた。
 ふてぶてしくなったのではなく、茫洋と夢の中を彷徨っているような。
 手応えがなくなっていくような――それこそ、人形に成り下がっていくような。

「サイフォス?」
「……はい」
「あなた、最近、おかしいわよ」
「……そうですか……?」

 その鈍い平坦な声音に、仮面の内側で自分を見返している、どろんと濁った瞳を見た気がした。
 カッとなって思わず術を唱えてぶつける。サイフォスは苦悶の声を上げたが、でも、それだけだった。

 



 



 アーギルシャイアは部屋の入り口の壁にもたれるように腕を組んで立ち、つまらない見世物を見る目で、下僕の姿を眺めていた。
 ぼんやりとしたまま日を過ごしていたサイフォスが、部屋に戻ってきて足を止めた。
 机の上に自分の聖剣が何事もなく置いてあるのを見つけて、最初は錯覚かと疑ったようだ。だが、それが紛れもなくここにある事の意味を悟ると、サイフォスは周囲を見回し、ようやくアーギルシャイアの姿を見つけて、凍りついたように動かなくなった。

「改造人間たちに海底を探させたわ。おかげで5体も駄目になったけれどね。また造らないと」
「何故ですか。アーギルシャイア様」
「何故? あなたがそれを言うの? 私の命令を無視して、毎晩とりつかれていたように、これを探し求めていたのはあなたでしょう?」
「…………」
「私は捨てなさいと言ったはずだわ。言うことをきかないのなら、あなたを殺しても良かったのよ」
「分かっています」
「そう。じゃあ何が、あなたをそこまで駆り立てたのかしらね?」

 返答次第では、今から殺しても構わないのだと。
 サイフォスが、おそるおそる手を伸ばして、机の上の聖剣に触れた。
 それは探し求めていた懐かしい物を取り戻したという動きではなかった。不思議と、あれほど探していたのに、サイフォスは嬉しそうではなかった。
 感触を確かめるように、そっと指先で剣をなぞり、サイフォスはぽつりと言った。

「アーギルシャイア様。私は、誰ですか?」

 アーギルシャイアが拳を握り固める。
 かろうじて呪文を唱えるのを押しとどめ、代わりに怒りを吐き出した。

「問いかけているのは私よ! 私の質問に答えなさい! サイフォス!」

 だが狂いの生じた人形は、アーギルシャイアの激昂を無視して続けた。

「とりつかれたように、とおっしゃいましたね。私もそう思います。どうしてそこまでして探さねばならなかったのか分かりません。私は仮面のしもべのサイフォス、それ以外の何者でもないのです」
 淡々とサイフォスは、手の中の剣を見つめて続けた。
「なのに、この剣を手放したら、私は私であることを失う気がするのです」

 アーギルシャイアが目を見張る。
 人形に成り下がっていくような――。

「自分でも自分がわかりません。こんな私は信頼できないなら殺してください。あなたの役に立てないのであれば、私には意味がないのですから」

 刃向かうつもりもなく、忠実でありたいのは本当。けれど自分でも分からない何かが自分を駆り立てる。内側からの揺さぶりに耐えきれず、自分自身を失っていく。
 記憶の断片が本当の自分を主張して、今の自分を脅かす。

 ――私は、誰ですか?

 その答えをアーギルシャイアは知っている。だがサイフォスは知らない。忘れているからだ。
 忘れているから? 違う。ロイとサイフォスはアーギルシャイアから見れば別人だ。サイフォスから見ても……ロイは、知らない誰かでしかないはずだ。
 サイフォスに、人格としての精神を残しておいたのは、他でもない自分だった。残した部分が邪魔になるなら、それも奪って完全な人形にしてしまえばいいだけのこと。生かすも殺すも、消すも残すも、自分次第なのだと。
 だが人形には戻せなかった。おそらく二度と同じものは、手に入らない。
 だから、剣を探し求めるサイフォスに返してやった。それがサイフォスではなく、ロイの求めであることが分かっていても。
 ロイを殺せば、サイフォスはサイフォスではなくなる。
 だが放っておいても、きっとサイフォスは……どんどん道を外れていく。

 アーギルシャイアには触れられない剣が、うるさく鳴いてサイフォスの眠りをさます。
 片割れの剣への呼応によって。
 ――本当に、とっとと殺しておけば良かった。あのしつこくうるさい弟を!
 他に何も持たない子供だから、姉も親友も手放せないと執念で追いかけてきて、邪魔をする。


 熱が消えたような沈黙がしばらく流れ、アーギルシャイアが口を開いた。

「あなたの短剣、黒髪の剣士の持つ剣と奇妙な反応を示したと言っていたわね」
「……はい……」
「この器の弟もね、やはり剣士で冒険者をしているのよ。自信過剰で鼻持ちならない男よ」
「弟君が、いらっしゃるのですか?」
「『この器の』と言ったはずよ」

 だったら。いっそ、記憶だって利用してやる。
 駆け引きは、いつだって賭けの要素を伴う。秘密を打ち明けることは、真剣勝負を挑むこと、共犯関係を結ぶことだ。
 奇妙な高揚感を感じながら、アーギルシャイアはサイフォスに囁いた。

「過保護で所有欲が強くてね。何かと姉の世話を焼きたがる、うるさい弟だったの。だからこの女は弟の手の届かないところで、自分の生き方をしてみようと思った。
 でもね。そうやって甘やかされて牙を抜かれた者は、自力で立つには気概が足りない。強い者に目をつけられて、縛り付けられて、結局同じ」
「…………」
「デスギガースという名の、生物兵器があるの。
 造るには材料も手間も恐ろしくかかるけど、出来上がったものは素晴らしいのよ。巨大な塔のようにそびえる体躯、両手はあらゆる者を切り裂く幅広の鎌に なっていて。たとえ傷つけられ血を流して肉をえぐられても、完全に停まるまでは忠実に破壊を続けるの。とても優秀で可愛い生き物だった。
 小さな村で試しに使ってみたけど、なかなか良かったわよ。壊されてしまったのが残念だったわ」

 アーギルシャイアは手を伸ばし、ひざまづいているサイフォスの顎を持ち上げ、その顔をのぞき込むようにして、言い聞かせていた。
 サイフォスが、一瞬だけ、口を挟みかけるような素振りをとる。けれど問いがあげられることはなく、無言のまま一言も聞き漏らすまいと、アーギルシャイアの言葉に耳を澄ましている。
 そんなサイフォスに、アーギルシャイアは妖艶に笑いかけた。

「その化け物を造ったのがね。この女なの。閉じこめられて、命じられて、脅されて、仕方なく、ね。
 造ればどういうことになるか承知はしていたけど、刃向かって抵抗することもしなかった。悩んで苦しんで、でも弱さと脆さから保身をとった。言われるままに造ったわ。泣いて悲鳴を上げたところで誰も助けてくれないなら、自分で自分を救うために牙をむくしかないのにね。
 優秀な魔道士で実力は十分にあった。ただ意気地がなかった。弟がつねに隣で危険を遠ざけてくれていたから、育たなかった部分と言えばいいのかしら……そして最後には、自分も餌食となった」

 暗く、それでいて美しく。
 自分の見栄えを十分承知している、誘惑をかけるような笑みだった。

「ウフフ、他人に弄ばれるだけの自分なんて、もう要らないと泣きながら言ったわ。だから私が身体をもらったの。乗っ取るのは、とても簡単だった」

 サイフォスは自分に触れている白い手をとって、包むように握りかえした。
 掠れた声で呟く。

「……アーギルシャイア様、あなたは……」
「私の話ではないわ。言ったでしょう。この器の話だと」
 でもね、とアーギルシャイアは優しく残酷に笑った。
「サイフォス、あなたは、この話を覚えていて。この先、何があっても、今聞いたことを忘れないでいてね」

 触れられない剣が記憶の鍵になるというのなら、この女の身体で鎖をかけ直すわ。
 思い出しても、あなたが私を裏切れないように。 

2007-09-18

アーギルシャイア=シェスターということを、ロイはどこで知ったのかなあと(あとデスギガースの制作者=シェスターということも知っているのかしら?と)。器という形の人質は、セラよりもロイに対しての方が有効にききそうな気がします。