セラの信用を得るということ
ミイススタートでセラの登場シーンをパターン別に見ると、台詞にはほとんど差がないのに、微妙に印象・心情が異なる演出があって心憎いです。
別の言葉で言うと「セラって面倒くさい人だな」の意にもなるのですが(笑)
以下そんな呟き。
★デスギガースにつっこんで、気を失って、目が覚めたら偉そうな男の人がいました。
どうやら兄の親友のようです。彼は自分についてこいといいます。
選択肢→ 「セラという男は信用できない」
なーんてミイスが警戒心もあらわにしようものなら、セラも無愛想な強引さで応じます。
「俺に不審があればいずれ答えてやる(が、ひとまずついてこい!!)」
と無理矢理ミイス主を連れ出します(親密度は変化せず)
この場合、お互い親密感よりも警戒心が先立った旅立ちになるのでしょう。
きっとエンシャントに着くまで無言だよ。
選択肢→ 「わかった、セラについていく!」
と素直に率直にやる気ある姿を見せると、セラは面倒は見ないと言いながら、心密かに親密感を覚えます。(新密度プラス)
今後の展開がちょっとだけ、早くなります。
また時間軸としては前になりますが、兄のいうとおりデスギガースを兄に任せ、自分は村人たちを避難させに行って
→ 村人は逃がした! よし私も脱出だ!
そのままミイス村を出ようとしたら、セラが文字通り壁になって押し返してきます。
「確かにロイはお前を逃がすために、村人を逃がすように言った……」
だがしかし、それでいいのか! とボディアタック&お説教。
貴様、それでもロイの妹か!
→ 村人は逃がしたけど、お兄ちゃんを放っておけないよ!
怖いけど、やっぱり戻る、と神殿に向かおうとすると、背後から声がかかります。
「ロイはお前を逃がすために、村人を逃がすように言ったのだぞ……」
しかし満足そうな心の声がはっきり聞こえました。
それでこそ、ロイの妹だ!!!
逃げても、戻っても「ロイはお前を逃がすために、そうしたのだぞ」と同じことを言うくせに、
・逃げた場合 = 責める気持ち
・戻る場合 = 一見主人公の無茶を諭しつつ、内心では非常に満足
(同じ台詞でも、ちゃんとニュアンスが異なるのがジルオールクオリティ)
状況的に兄の意をくんで主人公も村を脱出するのは間違ってないと思うんですが(笑)、セラの美意識には反するらしい。
そして美意識に反するような行動を取ると、セラは結構不機嫌になるらしい。面倒だな!
だったらもっと率直に、兄がどうこうじゃなくて自分が気に入らないんだ!って言ってくれていいのに。セラの言動は正直なんだか遠回しなんだかよくわかりません。
こういう一見どちらでもよさそうに見えながら本当はどちらでもよくない言動が、セラは多い気がします。
のちの「俺はお前の指示に従う」「だが俺は行きたいと思っている、それは覚えておいてくれ」に通じるセラが、早くもここで見えている。
* * *
この表向きと本心のギャップ――態度と本心の裏腹を、鋭い女性はあっさり見抜きそうです。
虹色の山脈でのアーギルとの対話で
「早く大人になって、セラ」「異常とも言える警戒心、いやされない孤独」
とありますが、あのセラに、この台詞を魔人が言うのか=お姉さんの身をのっとった敵方がこれを言うんだーと感心して、この姉弟が大好きになりました(セライベントで一番好きなのはアーギルとセラのやりとりです)
セラの態度を子どもと言い、独善を警戒心の強さの表れとして、それを孤独だと言う。このことはシェスターの記憶を読んでるアーギルだからこそ指摘してしまえるのだろうと思います。セラは時にそれに激高し時にそれを無視するのですが、それはアーギルシャイアの言葉が当たっていることを示してもいる。
ずっと他人を見下して誰も頼りにならないと息巻いてるセラですが、裏を返せばそれだけ他人を信用しづらい=周囲に対して警戒心を抱かざる得ないような環境や性格が一因としてあるということ。それは警戒心(臆病さ)でもあるし、孤独でもある。
なんてことをつらつら考えてしまうと、ミイス主との初対面時、ミイス主がどんな人物かは知らなかったセラが『ミイス主が自分の認めた男の妹として、ふさわしい行動をとってくれた』=『自分が信用しても良いと思える相手だった』ことは、とても大きな意味を持ちそうです。
セラは頭ではロイの妹はどんな人物でも良いと思っていたでしょうが、心や価値観や信念=本心の部分ではきっと別で、ミイス主が自分が許容できる行動をとってくれたことは、セラ自身が自分で思っている以上に嬉しいことだったのではないかなという気がします。
セラの信頼を勝ち取るのは、実は結構難しくて大切なことのような気がする。