設定と役柄
唐突ですが、うちのミイス主のロイ兄評は
「お兄ちゃんは、なんだかできすぎてるので信用なりません」 です。
ロイのあの優等生的な言動は、なんとなく上っ面めいたものというか、
実はお兄ちゃん、結構色々弾けたいんじゃないかしらー? と
動物的本能にすぐれているうちのミイス主は、
その嗅覚で、敏感にロイの裏の顔、本音を、感じ取っていたようです。
このロイ評、私の最初のロイの印象でもあったりします。
以下、そんなとりとめもないつぶやき。
物語において、あんまりにも善良そうでできる人物は、
「真っ先に死亡する人」 か 「一番信用してはいけない人」 のどっちかであるので、
ミイススタートでの、ロイ兄さんのあまりな出来物良兄ぶりに、
まず浮かんだのが 「この人死にそう……」
その後の行方不明に 「次に会うときは敵に回ってそう」 と思いました(実話)
なので。
兄が下僕になって敵に回ったとき、衝撃はさほどでもなかったのです。
それよりも注目したのは、
「敵」 になっていたことではなく、 「下僕」 の道を選んでいたことでした。
思わず安心しました。
ああ、こういう方向で済んで良かった……!!
こういう感じでストレス発散できれば、まず陰惨なことにはなるまい、と。
善良人物が敵に回る、
この路線を、もしシリアス展開でやられたら、
セラとロイは必ずどっちかが死ぬ、
殺し合い・あるいは相討ち展開だろうな、と
ぼんやり、そういう心配をしていました。
下手したらアーギル(シェスター)も自害を選んで、全滅結末です。
(バッドエンドパターンに、そんな気配がなくもないですが)
下僕になっちゃったロイ兄さんは、ツッコミどころ満載ですが、
ツッコミさえされない人物設定のままだったら、
きっと殺されてる。
そう思ってしまったのでした……。
表現が悪くてすみませんが、
物語のバランスを考えると、
兄はコメディ要素が付け加えられることで、
生存の道を得たというか、存在価値が出たというか、味わいが増えて、
キャラクター的には、良かったんじゃないかと思っています。
* * *
ちなみに、同じ「兄」設定でも、シリアス路線で行ったのが、レムオンだと思います。
だから私にとって、レムオンは、好き嫌いというよりは、胸が痛い。
そういう立ち位置にいるキャラクターです。
無邪気に好きになるには、ちょっと覚悟がいる人のようなイメージ。
「出来のいい兄(当主)」だからこそ、その影は暗いものになるわけで、
本性を暴かれたときの傷が深くなりがちというか、
暴かれ方(『影』の出現の仕方)によっては、
展開や状況も、かなりシビアで陰惨なものになってしまうと思います。
レムオンも、展開的に、上記のロイセラと似たような考え方で、
「ゼネテスと殺し合いになるかな」 と心配していました。
半分当たっていたような、当たってないような。
どちらかというと、レムオンの相対キャラは、ゼネテスではなくエリスですね。
レムオンは、ダルケニスという迫害される種族という設定を背負っていますが、
「差別される」という観点でみれば、
男尊女卑な感覚が根強く残るロストールに置いて、
エリスもまた、女性だから、という理由で差別されているわけです。
(ちなみにゼネテスは、差別という観点で見ると、レムオン・エリスとは正反対。
ゼネテスの『遊び人』の姿は――のちの『勲章』なんですよね。
七竜家の出身(ノヴァンが亡くなる展開を思えば、ファーロス当主)であり、
奇跡の名将という英雄になることの箔押しをするのが、遊び人の姿というか。
遠山の金さんや暴れん坊将軍など、正体が約束されている人は、
遊び人姿は、親しみの象徴であり、差別や蔑視とは真逆のものなわけです)
だから……レムオンのダルケニス覚醒イベント=新月の夜の展開に、
「種族間の不理解をネタにつかうのは気に入らない」
とゼネテスは、エリスに対して、はき出すんだと思います。
もちろん言葉通りの意味もあるのですが、ゼネテスの心の片隅には
「女性として差別されてきたあなたが、
敵を追い落とすのに、差別という方法を使うのか」
あなたはその辛さ・痛みをよく知っているはずだろうに。
そんなやるせなさもあったと思います。
同時にゼネテスは頭の良い人もあるので
「だが自分にそれを言う権利はない」 ということも、わきまえていたのだろうな、と。
ちなみにエリスもまた、怜悧で強い女性なので、
「差別の辛さ・痛みを知っているからこそ、
それがどんなに効果的かもよく知っているのだよ」
と言えてしまいそうな気がします。
エリスの悲しいところは、その強さにあるのでしょうね……。
……と前半のおちゃらけが嘘のような真面目な呟きになってしまいました。
とりとめがないので、この辺で。
ちなみに、「種族間の~」の台詞も、すごく好きな台詞で、
というより、ゼネテスがエリスにこれを言う って妄想が高じて、
私の中のジル名場面の一つです。
でも、ゼネテスとエリスの、一番好きな会話は
「愛する誰かのために~」の一般論と見せかけた告白台詞(笑)