正体隠してる遊び人の内心は
素朴な疑問なんですが、タルテュバはゼネテスが貴族だと知っている……というか、
タルテュバとゼネテスはおそらく貴族社会で古くからの顔見知りなはずですが、
町の人たちは、それを知らない…んですね?
「ゼネテスさんがいてくれたら、タルテュバなんか追い返してくれるのに!」
ってハンナのお母さんが言っていて、
ということは、ゼネテスは過去何度か、タルテュバをあしらって追い返したことがあると思うのですが、
それでも町の人たちからは、二人が、知人同士と思われなかったのか。
二人が顔をあわせても、仲の悪い会話だったからかな。
「よう。タルテュバ、お前さん、またこんな馬鹿なことをやってるのかい?
ちょっとは周りの迷惑考えて、おとなしく日々を過ごすってのも、人生には必要だと思うぜ?」
「貴様、ゼネテス! 俺の邪魔ばかりしやがって…このクズがぁ!!」
って感じで、お互い、知り合い同士だとわかるような、親交のある会話なんて交わしてなかったから、周りにはわからなかったのかな(笑)
こういうゼネテスを見ると、彼の内面はどうなっているのか、不思議に思うんですよね。
平民街に憂さ晴らしに来るタルテュバを、どう思っていたのか、あるいは平民たちが口にする、貴族への至極真っ当な批判を、どう受け止めていたのか。
正体を隠していたなら、後ろめたさというか、痛かゆさというか、人間同士の争い事のもどかしさにお酒がまずくなる…みたいな部分も、多少あったんじゃないかと思うんですが。
でもそういうのを、少なくとも表には出さない人なのでしょう。
仮にこれがレムオンだったら、(タルテュバと同家ということもありますが)、貴族として恥だと思い、貴族としてどうあるべきかというスタンスで受け止める気がしたので。
ただレムオンはレムオンで、タルテュバを不快に思っても、彼の家を潰したと罪悪感めいたものもあるようなので、そう単純にはいかないのかな。
なんというかゼネテスも内面は相当屈折している人なんだろうなあ。
主人公に銀竜の首飾りを渡して、主人公の出方を伺う――主人公の人柄や力量を試すような真似をしたり。
『ちょっと相手から離れて、うかがって、そこから対応を決めよう』
そんなやり方が、気になるような、こちらの気にしすぎのような。
近づきたいけど、距離を置く人で、その距離のとり方が、たまに冷たくも見えるし、頼もしくも見える。
逃げているようにも見えるし、賢くも見える。
この辺りに、ゼネテスが見えそうな気がするんですが。
(夢を見るなら、これが過去の傷跡――大いなるソウルとの出来事の影だったりするのかしらと考えてみたい気もする)