MEMO

AIやファンアートに対する私見 編集

Twitterで流れてきたAI関連の記事で、個人的に良いなと思った記事の備忘録用メモ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/9731cd52401b6a50a4a881ecb1585753fd72fa0d
↑ヤフーニュースの権利問題の弁護士の記事。
AI関連の権利問題の要点をかなり平易に記してくれているなと思ったので。

https://www.musabi.ac.jp/news/20230511_03_01/
↑武蔵野美術大学のブログ。AIに携わる芸術サイドの視点として。

この手の話題は、荒れたり拒絶反応が出たりが多いので、こちらでこっそり。

以下は個人的な意見。辛口厳しめの私見なので、読まれる場合はご了承の上お願いします。
この手の問題で見聞きすることと、それに伴う集団行動が、個人的に全く賛同も共感もできなくてしんどかったので、ここで供養させてください。

本当に自分が自分のために書いた、自分の考えをまとめておくためだけの記事です。無駄に長いです。








AIにしてもファンアートにしても。

もし「WEB上で自由に表現をしたい・自己の権利を尊重しろ」と叫ぶならば「それを行使するための責務なり努力なり知識なりを、最低ラインでいいから勉強して順守してから」とも思います。

相手に権利侵害を訴えるなら、自分が権利侵害をしてないかを省みてほしいし、自分が権利侵害をしていたら、相手から注意されるのは仕方ないと思って欲しい…。

 

 

1.AIと著作権侵害の話

(以下は一般的な生成AI技術(t2i)に対しての私見です。特定の画像を故意に読み込ませて類似画像を作るi2iに対しては、それこそ『使用者の使い方』による人為的な犯罪の範疇で、AIの学習用データセット技術の問題とは別軸と思っています)

上記記事でも少し触れられているけど、AIのデータ学習利用が著作権外として認められているのは、人間の学習(創作)も同じプロセスでやっているから。
もし学習のための利用さえ著作権侵害で禁止というなら、自分たち人間の学習も禁止になる。それだけの覚悟を背負って自分の要求を通そうとしているのか…失礼だけど大半の人はそこまで考えてないですよね…?

『機械と人間では話が別』とはならないです。人間が研究のためにAIに学習をさせているのだから。機械を使うのは人間です。
機械に法律は適用できない(守らせることは不可能な)ので、適用するなら「人間に対して」だけです。AI研究者を法律で縛ることはできるかもしれませんが、その場合、その研究成果の恩恵も放棄しないと矛盾するので、AI技術を用いた検索、解析、翻訳、医療や物流、事務、行政管理etcすべてダメですよね…?

『他の分野は創造性がないからAIで置き換えられる。絵は創造性の分野だからダメ』なんてのは通らないです…(実際絵描きさんでこれ言った人がいました…)

私としては、やるとしたら学習などインプット側の規制ではなく、出力された生成品の活用などアウトプット後の使い道で制限をかけるしかないかなと思います。著作権ではなく、使用範囲とか商業利用についての制約を設けるというやり方ですかね。

(自分でも半年前に呟いたし、特に目新しい意見でもなく、多数の法律家やエンジニアはこういう考え方しているのでは。消去法でやれる範囲を考えたら大体この辺りになるんじゃないでしょうか…)

 

「オリジナル」「模倣」「侵害」の区分だってかなり難しい。
二次創作は公式があるからまだ分かりやすいけど『自分はオリジナル絵を描くから著作権侵害してない』って本当に胸を張って言えるか。

例えばネットにあがっている絵や写真、モデル、服、装飾品、建造物、小物etcを参考にして描いたら、それだって場合によっては著作権や意匠権の侵害にあたるし、もっと身近な例で言えば「この本で勉強しました!」とSNSに書籍の表紙をスクショ投稿するのだって、著作権侵害(公衆送信法違反)です。よく見かけるけど。同様の理由でゲームパッケージもポスターもCDジャケットもダメだよ…。

なんで駄目かは『その権利が何を保護しているのか』を考えてみたらよいかもしれないです。
例えば自分の絵を勝手にサムネ代わりに使われ、他人の記事やお店や話題の『集客』として使われたら相手側に利益発生するからダメですよね。
好きなアーティストの応援になるからOKでしょは無しです…「自分の記事も見てもらえるし、お前の絵の宣伝にもなるんだからいいだろ」を認めてしまったら、健全な広報や商業活動なりたたなくなるので…。

(※ただこうした双方向の宣伝行為に関しては、ネットだと双方winwinだから賛成派も多いし、実際そうしたステマや収益システムやサービス利用も普通にあるので、今の時代感覚だと一概にダメでもないんだろうなとも思います)

また「アイデアに著作権はないから」と他の作家の画風、道具、技法それらを真似て『ニュアンスは似てるけど自分で描いたからオリジナルだよ』と言い張るなら、全く同じことをAIが人間に対してしているだけで。
自分がやるのはOKだけど機械はダメなんて理屈が通るわけがない。

 

2.ファンアートと著作権侵害の話

ファンアートの権利侵害に対しても、似たことを思います。
ちょっと前Twitterで、企業からSNS投稿禁止を言い渡されたファンが「3次元舞台モノ(いわゆる生もの)のファンアート禁止はおかしい。ファン同士の交流が目的で利益発生しているわけではないし、宣伝にもなるんだから、公式はSNS投稿も認めるべき」という意見が流れてきまして。

さすがに「ダメです!!」と他業界からも猛反論されてて(私も便乗してどうしてダメかキツイ言葉で述べてしまい、言い過ぎたと反省しました)けど法律的にも社会的にも許容できない領域とはやっぱり思ってしまうので、意見としては「絶対駄目です!」としか言いようがなく…。

三次元は、二次元とは別かつ重い権利や諸問題が付属します。
肖像権や意匠権も含んでくるし、人権の問題にもなってくるし、芸能プロダクションなら広報報道規定やスポンサー契約、その他経営上の規約が厳しいのは当然だし、三次元を二次元ファンアートにするって生身の人物を二次元嗜好物として消費対象にするってことでもあるので、倫理的にも問題がでる気がするし。

三次元は権利問題に関してはかなり鋭敏だし、その禁止対象や範囲が、細かく多く厳しいです。伝統と格式のある芸能事務所ほど自ブランドの価値を守らなくてはいけないし、権利保護対象が『実在する人間』であれば、どうしても厳しくなる。

個人的に権利は「保護」とセットになっていると思うので、何故保護する必要があるのか? 何を保護するべきなのか?と考えると、なぜこれが権利として守られるのか→規約としてダメになるのか…も理解しやすくなる気がしてます。

※著作権侵害は基本的に親告罪なので、当人に訴える意思がなく「ファンアートOK。描いてくれるのは嬉しい」と明記ある場合も今は増えているようですが、これはかなり特殊事例というか個人事務所の場合や、事務所の方針がそういったSNSでの応援(悪く言えば『弄られ』)も広報戦略として組んでいる場合がほとんどかと。企業で認めろというのはかなり難しいです。

* * *

あと…これは二次元もですけど。
ファンアートは『利益が発生しないからOK』…ではない、です。

法律上はそもそも『利益があろうがなかろうが禁止』です。じゃあ、なぜ上記のようなお約束が通るかというと、本来権利侵害として駄目なものを「利益が発生しないように留めて、目こぼしをしてもらっている」だけです。

『利益を発生させない(相手に損益を与えない)ことで黙認をもらう』が正しい。
ここで大事なのは、あくまでも『黙認』ということ。だから(建前として)企業や当人にも見つからないよう隠れてやっているんです。

本来は黒なものを、そういった建前や方便を使って、グレーにしているだけ。
だから「利益が発生していないんだからファン活動を認めろ」は成立しないです。建前で黒をグレーに見せているだけなので、グレーであることを理由に白にはできない。

「これだけファンアートが当たり前の時代になって、企業側も積極的に広報活用しているのに、黙認も何もないだろう」という意見もあるかと思いますが、これは企業とファンが互いに共存するための暗黙の約束事と思っています。
『法律上で禁止する必要性を互いに認めている』うえで『そこに抵触してはいるけど存在は認める』という日本独特の折り合いの作法みたいなもの…と解釈をしています。

だから逆にファンの活動が「企業の黙認レベルを超えてしまう」なら「企業としては禁止をかけざる得ない」とも思います。
※二次元に関しては昨今の流れを受けて、二次創作の具体的な許諾範囲を規定するケースも増えてきましたが、三次元でそういったガイドライン制定は難しく『許諾不可』しか出せないと思います…適用される法律も、抱えている人材も、会社規模も、契約ケースも何もかもが違うので…。

あと三次元に関しては、その権利上「見つけたら注意をしなければならない(賠償請求が生じる)」こともあります。
SNSに鍵もなくオープンでファンアートとして舞台の演目内容や詳細が具体的に記してあったりしたら、企業側としては自身の権利保護のためだけではなく、スポンサーや取引先との関係もあるので、企業コメントを発する必要もあるでしょう。

 

 3.思うこと

私は、昨今の様々な創作表現や公開に関する騒動や炎上は、一部の創作者やファンの言動にも問題があると思っています。

WEB発信技術にしてもAI生成技術にしても、諸般の権利問題にしても。
そもそもの根幹「どういう仕組みや原理で動くのか」「どういう用途のときに権利が発生するのか」「どの部分がどう問題や障壁になるのか」を知らないし調べようともせず、自分の気持ちや感覚で判断して相手に要求をする。
そして、そのための対策を考えるのも、対応準備をするのも、その労働力も経費も、自分には問題がないから全部相手側でやってと丸投げ。

運営側やエンジニア側としては文句も言いたくなるだろうし、その行動原理の裏に「創作行為は実務労働より精神的に上位だ」という特権意識、あるいは「自分たちは利用者だから・ファンだから・被害者だから優遇されるべき」という優越感が滲んでいたら、良い気持ちはしないと思う。

ネットサービスを経由して作品を全世界に公開している以上、WEB上での公開規約や権利侵害(される方でもする方でも)と自分がまったく無関係というわけにはいかないし、こうして専門家も分かりやすく情報発信してくれてるわけだし、学ぶ方法はいくらでもあります。

先のPixivの件もですが、私は正直言って、ファンや利用者が企業に集団圧力をかけて規約改正や要求を通すやり方は、大義があるとしても一般社会で言えば威力業務妨害なので賛同できないです。

デモをするならするで構いませんが、現在の技術的・社会的にどこまで解決や対処が可能であるのか、そのための妥協案や解決策を話し合い、模索するための場や機会として行ってほしい。一方的に自分たちの要求を押し通すためだけに数で圧力をかけたら、カスハラや恫喝じゃないですか…。

* * *

ただ上記の私の感覚や考えは、自分が育ってきた世代のものだという自覚もあります。

同人誌の即売会がまだ紙媒体で対人で行われていて、ネット黎明期からPCの性能変化やIT技術浸透を見てきて、自身でWEBサイトを運営したりして、SNSが出てきて、スマートフォンが当たり前になって、AIが一気に飛躍を遂げて…と歩んできたものです。

私のネットリテラシー感覚も古いといえば古いので、これからの時代にはそぐわないかもしれない。

もっと分かりやすく、もっとスピーディーで、もっと便利なものはこれからもたくさん登場する。
そんな時代の、これからのコミュニケーションや表現のあり方は、今の10~30代世代が主軸となって自分たちの感覚を基準に進めていくのだろうと思います。
それに合わせて企業やサービスも規約を改正していくのだろうし、広報の仕方も、物の売り方も、良いと思う対象物も、行動の善悪の判定も変わっていくのだろうと。

なので、どうか未来を創っていく人たちが適切に学んで、できるだけよい未来を自分たちの手で選んでいけるようにと願っています。



ユーティリティ

Calender

- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

Archive

Search

エントリー検索フォーム
キーワード

Feed