『守護者』の異名
人物列伝・アーギルシャイアの最初の紹介文には、『闇の神器忘却の仮面の守護者』の一文が入っています。
この場合、普通は『所有者』ないしは『管理者』だと思うので、この『守護者』は意図的な語彙選択だと思います。
当然というべきか、これはロイの異名である『神器の守護者』に対しての言葉でしょう。
ここで思いだすのが、ミイススタート時に、アーギルシャイアが忘却の仮面を「元々自分の持ち物だ」という場面。ミイスの村人は自分の手から神器を守っているつもりだけれど、アーギルシャイアからすれば本来これは自分が所有=守るべきもので、それを人間側が勝手に隠し持っているようにも見える。
そうするとロイの異名『神器の守護者』は「神器を魔人の手から守る」のほかに「神器そのもの(=忘却の仮面)を、本来の形(=魔人の持ち物として下僕として被るという形)で、守る」のどっちの意味でもとれる気がします。
アーギルシャイアこそが本来の「神器の守護者」であれば、そしてロイは神器の守護者たる宿命を背負っているのならば、アーギルシャイア側についても不思議はない。
恣意的に読もうとすれば、アーギルシャイアの守護者の庇護対象も、仮面の守護者=仮面を被った下僕の守護者、どっちの意味でもとれる。
この、守るもの・守られるものが入れ替わる構図は、のちのアンティノ研究所での関係を示唆している。
というかこの先の展開を『守護者』の言葉にこめてあるのだとしたら、芸が細かいです。
ロイは街道でセラに追われる際、「ならば私は守り通す」と答えます。
ロイは追撃者ではなく守護者だから。神器の、神器に関わった者の守護者。