MEMO

玄武将軍失踪す 編集

【 エンシャント政庁 】

〔 主人公、ザギヴからの手紙をもらって政庁を訪れる 〕
〔 執務室にベルゼーヴァの姿 〕

ベルゼーヴァ:
…東方領土すべてを、ひとりの人間が
排他的に支配しているという事態は、
帝国にとって歓迎すべきものではない。

ザギヴ:
はっ、承知しております。

ベルゼーヴァ:
…特に、カルラのように、
軍を私物化する女の手に預けておくのはな。

ザギヴ:
ご期待には必ずや沿えると存じます。

〔 ベルゼーヴァ、ザギヴの肩に手を置く 〕

ザギヴ:
あ…

ベルゼーヴァ:
玄武将軍。君だけが頼りだ。

ザギヴ:
は…はい…。

〔 主人公入室、入れ違いにベルゼーヴァ退場 〕

ザギヴ:
あ、あなた、いつからそこにいたの!?

〔 主人公首を振る 〕

ザギヴ:
なら、いいわ。
こっちに来て。
今日は、どうしてもあなたにお礼が言いたかったの。
あなたがギルドで受けていたモンスター退治の
依頼の中には、闇の怪物も含まれていたのよ。
私もずっと追っていたの。
一匹でも多くこの世から消すためにね。
あなたのおかげでずいぶんと気分が楽になったわ。
ありがとう、殺してくれて。
これは私からの気持ちよ、受け取っておいて。

もうひとつ、あなたを見込んで
依頼したいことがあるんだけど
引き受けていただけないかしら?
本日、本職は帝国東方領土の巡察に出発します。
貴殿にその警護を依頼します。
引き受けていただける、かしら?

〔 主人公、うなずく 〕

ザギヴ:
ありがとう。
それでは、状況を説明するわ。
カルラはロセンに利権を集中させ、
巨利を得、自軍を強化している。
…帝国にいつ牙を剥くかわからない。
だから、ロセンの領内視察を名目に
その辺を内密に調査するつもりなの。
カルラの野望をくじくためにね。

その私の警護をカルラが担当するの。
カルラだってこっちの意図は覚ってる…
絶対に、何かしかけてくるわ。
と言って、こちらから大々的な
警護無頼をしつらえるわけにもいかないの。

例えば、警護に不満があるのか、と疑われでもすれば、
それを視察拒否の口実とされるかもしれない。
相手はあのカルラ。
少しでもぬかりがあれば、たちまち足元をすくわれるわ。
そこで、あなたに私の警護をお願いしたいの。
ごく私的な警護を、ね。

フフ、うれしいわ。
こっちの用意はできています。
すぐ出発しましょう。

【 街道 】

〔 襲撃を受ける 〕

解放軍同志:
我らは反ディンガルの闘士!
ロセン王国復興を志す者だ!

若い解放軍同志:
ディンガルの侵略者!
その巨魁ザギヴ・ディンガル!

元商人の解放軍同志:
今日がその命運のつきる時だ!
死をもって侵略と非道の罪をあがなえ!

ザギヴ:
さ、主人公。
行くわ!

〔 戦闘 〕

ザギヴ:
ずいぶん楽にかたがついたわね。
カルラがこんなにマヌケだとは
思えないのだけど…。

解放軍同志:
我らを…侮辱するな…。
我らはカルラの手先などでは…
ない…。

ザギヴ:
そうね。正確には、
カルラに利用されていただけね。

解放軍同志:
くっ…、ま、まだ…言う…か…。

〔 解放軍同志、マゴス型モンスター召還 〕

解放軍同志:
ククク…
リベルダムのアンティノ商会で
新開発された戦闘モンスターだ。
こいつは打撃も魔法も吸収する…
お前でも、か、勝てん…ぞ…。

ザギヴ:
い、いや…
…い…や…
…マゴ…ス…!
いや、いや、イヤアアアアア!

〔 ザギヴの魔力が暴発 〕

エステル:
ザギヴ、完全にショック状態だよ。
どうしよう、主人公…。

うん、エンシャントの宿屋に戻ろう。
今、カルラの懐に入り込むなんて
死にに行くのも同じだもん。

【 エンシャント宿屋 】

ザギヴ:
ありがとう。
多分、もう、大丈…夫…だから…
ごめんなさい。
あんなことになって…しまって…

〔 主人公、首を振る 〕

ザギヴ:
あのときの…記憶が…
甦って…

〔 主人公、尋ねる 〕

ザギヴ:
妖術宰相ゾフォルは予言したわ…。
ザギヴがディンガルを支配する、って…
それで、私の家族は魔王バロルに
捕らえられて…ウルグの円卓の騎士、
棲みつくものマゴスの餌食に…
マゴスは昼のあの怪物兵器によく似た
外見をしていたの…。そして…
やはり魔法も…打撃も…効かなかった。
私の…目の前で…家族が…私の家族が…
な、なぶり…殺されて…いった。
私が…ザギヴという名前…だった…ばっかりに…

あのとき…、
ネメア様が助けに来て…くださって…、
私だけ…助かった…私…だけ…
私…だけ…。私のせいなのに…
私…だけ…むざむざと…生き残ってしまった!
私、生まれなければ…よかった…!

〔 主人公、なぐさめる 〕

ザギヴ:
近づかないで!
マゴスは、そのとき、私の中に潜んだの。
それ以来、マゴスは私の中に…!
私は汚れているの!

〔 主人公、否定する 〕

ザギヴ:
私なんて…ザギヴなんて、いてはいけないの!
いてはいけなかったのよ!
生けとし生けるものすべてが
呪わしい! 恨めしい!
だって私は、生きていてはいけない存在なのだもの!

〔 ゾフォル登場 〕

ゾフォル:
そうじゃ、生きていてはいけない…
お前はそう世界に否定されたのじゃ。

〔 主人公、剣を抜く 〕

ゾフォル:
システィーナの伝道師のひとり、
妖術宰相ゾフォル。
闇の誕生にあわせ、参上した。
自分と少しでも異質なものには、
恐怖と拒絶を抱かずにおられぬ。
それが人の性じゃ。
さぞお前は疎外感にさいなまれたはずじゃの。
…かわいそうに。

ザギヴ:
…い、痛い。

ゾフォル:
かわいそうにな。
お前は何も悪いことはしておらぬ。
お前が存在すること自体が悪じゃと、
この世界に否定されただけじゃ。

ザギヴ:
痛い、痛いよ…

ゾフォル:
さぁ。お前の痛みを解放するがいい。
世界がお前に産みつけた痛みを、
この世界にわからせてやるのじゃ。

ザギヴ:
ふ、うう…、ア…、アアア!

ゾフォル:
このままではお前は無だ。
お前の胸の中の怪物を孵してやれ。
そして力を手に入れろ。
皇帝になれ。
さすれば誰もお前を否定できぬ!

ザギヴ:
ウウッ、ウグッ、ウガアアアッ!

ゾフォル:
円卓騎士マゴスが孵化する。
お主ひとりでは奴には勝てぬぞ。
逃げぬのか?

ザギヴ:
はあっ! 苦しい、よ…
あぁ…はああああっ!

ゾフォル:
な、なんじゃ?

〔 主人公、子守唄を歌う 〕

ザギヴ:
この…歌…

ゾフォル:
絶望を、押し返しおったか…

ザギヴ:
…主人公。
私は皇帝にならない。
皇帝になっても否定されないのは、
皇帝という地位だけ。…私じゃない。

ゾフォル:
フォフォ…。
いくら強がっても運命には勝てぬよ。
どれ、お前の未来を語ってやろうか。
お前は主人公と猫屋敷へ行く。
あそこの結界に守られていれば
マゴスの復活を遅らせられるからな。
だが、それは一時しのぎに過ぎぬ。
やがて、体内で力をつけたマゴスにより
お前は地獄の苦しみを受け…

〔 ザギヴ、攻撃 〕

【猫屋敷】

オルファウス:
ザギヴさんですが、
とりあえず眠ってもらいました。
ゾフォルもやりますね。
彼女が心を閉ざしてしまうように、
うまいこと持っていっている…

〔 主人公、たずねる 〕

オルファウス:
ザギヴさんが自ら心を開き、
運命に立ち向かう気にならないかぎり
手の施しようはありませんね。
主人公、
彼女を旅に連れていってはくれませんか?

無理という言葉は可能性を
檻に閉じ込めてしまいますよ。
まあ、聞いてください。
マゴスが糧としている
ザギヴさんの魔力を弱め、復活を遅らせています。
彼女自身の負担もあります。
とても本来の実力は出せないでしょう。
頼みますよ、主人公。

それでは主人公、
ザギヴさんのこと、頼みますよ。
主人公、
ザギヴさんを呼び出したいときは
他の人と同じく転送機ですからね。

【歴史事件:玄武将軍失踪す】

ディンガル帝国内務統括、玄武将軍ザギヴが
青竜将軍カルラの領内を視察中に失踪した。
青竜軍の発表によれば、ザギヴは青竜軍の領内に
入る前にロセン解放軍に襲撃されたとのこと。
現場は強大な爆発により草一本のこっておらず、
ザギヴの生存は絶望的となり捜索は打ち切られた。
玄武将軍職は空席となり、内務統括は宰相である
ベルゼーヴァが兼任、玄武軍の指揮は副官である
ガラーナ・イガヴィルが執ることになった。



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