ディミトリのこと
個人的雑感
こう言うのもなんだけど、個人的には1部の最初の頃の、品行方正で繊細で控えめなディミトリが好きだったし、国取り物語で、一国の君主という設定なら……あの状態で、悩みを引き受けながらも成長して欲しかった……。
悩みや恨みに飲まれてしまうんじゃなくて。
2部後半は白いディミトリに戻るんだけど、あまりに2部前半の黒ディミトリが破壊力ありすぎて。
想像以上に病んでいてどす黒くて、厨二病満載で、結構引きました。
ただ「キャラ立ち」としてはこれ以上ないと思うし、好きな人は好きだと思うので、キャラクターとしては美味しいと思う。
私も物語性とは別に、キャラ愛で目線でみるなら、嫌いじゃないです(笑)
でも好きかって聞かれたら……なんだろう。個人的に全く白ディミトリと黒ディミトリが全く一致しないので(笑)、黒なら黒として最初から2部の前半のキャラクターとして出てるなら好きだった、かも……。
なんというか、ああいう風に暗黒面に落ちるというのは悪くないので、もうちょっと、表現を変えてくれたらよかったかな。
正直言って、1部→2部前半→2部後半とキャラが変わりすぎるのと、黒ディミトリだと士気や忠義の持って行きどころがないので……物語的には、せめてもうちょっと理由なり要因なりの補足が欲しかったかな。
いや、一人の人間の成長物語としてなら分かるんだけど、一国の王子が国を顧みずに病んでて、しかもそれが暴虐や残虐さとして出てしまうとなると、うーんうーんとモヤモヤしてしまう。(※統治者としての資質を問われてしまうので)
というか黒ディミトリは……普通だと『国を滅ぼす』王子ですよね……(汗・ルートによってはそうなるんだろうけど)
だから『立ち直って、立派な国王になりました』が、ちょっとご都合主義すぎるように思えるのかも。
* * *
国の上に立つ者は本来、国に対する責任と、決定権を酷使する意志の強さを持ってなければならないわけで。
ディミトリは自分の苦難は確かに大きかったんだけど、そうした責務や王家血筋の自覚が足りてなかったのも事実。
特に他の二国が「君主としての」実力もかなり立っていた……エーデルガルトとクロードがあれだけ立派に勤めているだけに、その弱さと責任の所在のあやふやさが目立ってしまうような。
何だろう……「時々私怨が出そうになるんだけど、自分の意志でそれをなんとか押さえる。けれどやられた傷が深くて苦しむ。その中で戦いを続けていく」みたいな感じの方が『君主としての成長』という気がするんです。
病んでしまって、国を見捨てて、周囲が立ち直らせるだと『一人の青年の成長物語』なので。
王子という設定と、私的な葛藤をこういう形でやるのは、ちょっともったいないかなって。
ただ、それも織り込み済みというか、そういう設計なんだとも思います。
おそらく彼だけは『殿下』であって、『まだ陛下ではない』ので、こういう弱さというか葛藤を抱えていることも含めてのキャラクター像なのかな……。
台詞などから察するに最初は、自分は国にふさわしくない=統治者の資格はない、って思っていたようだし。
※たぶんディミトリは、クリアするまで『殿下呼び』だと思うんですが、これはディミトリだけは、エーデルガルトとクロードの二人と比べて、まだ真の意味で国を背負ってない状態という意味でもあると思う。
だから二人と比べたとき、自覚が薄い=幼いというか……統治者ではない目線で行動してしまうのも、仕方なかった部分はあるかもしれない。
とにかく圧倒的にエーデルガルトが強かった(笑)5年後のクロードも優秀だった
* * *
……あと他の青獅子のメンバーが、ディミトリがこうなるバランスを考えてなのだろうけど、かなり人格的に安定度が高い大人なキャラだったので。
たぶん青獅子は、弱さのある君主を臣下がどう支えて行くかって形のチームであり、国の物語なのかなとは思う。